こんにちは
「歯が痛いから来院したのに、“虫歯はありません”と言われた」
そんな経験はありませんか?
実は、歯の痛み=虫歯とは限らず、歯・歯ぐき・噛み合わせ・顎・鼻・神経など、さまざまな要因で痛みが起こります。
このブログでは、虫歯以外で歯が痛くなる代表的な原因、それぞれの症状の特徴、そして歯科医院ではどのように治療・対処するのかを歯科医師の視点で詳しく解説したいと思います。

◆ 1. 知覚過敏(冷たいものがしみる・鋭い痛み)
虫歯がないのに「キーン」と鋭い痛みが出る代表的な原因です。
● 痛みの特徴
- 冷たい水・風でしみる
- 短時間の鋭い痛み
- 歯ブラシが当たると痛い
● 原因
- 強く磨きすぎ(ブラッシング圧が強い)
- 歯ぎしり・食いしばり
- 歯周病による歯ぐき退縮
- 酸蝕(炭酸・柑橘類の摂取が多い)
★ 歯科医院での対応
- 知覚過敏抑制剤(コーティング剤)の塗布
象牙質の細い穴を封鎖し、刺激を遮断します。 - フッ素塗布・高濃度フッ素の処方
- ブラッシング方法の指導(力の入れすぎ改善)
- ナイトガード(マウスピース)の作製
歯ぎしりによるエナメル質の摩耗を防ぎます。 - 症状が強い場合:コンポジットレジンで露出部を覆う処置
◆ 2. 歯ぎしり・食いしばり(力のかけすぎによる痛み)
歯ぎしりは無意識に行われるため、自覚症状がない人も多いです。
● 痛みの特徴
- 噛むと「ズーン」と鈍い痛み
- 朝起きると顎が疲れている
- 歯が浮いた感じ
● 原因
- ストレス
- 噛み合わせのズレ
- 日中の無意識な噛み締め癖
★ 歯科医院での対応
- ナイトガード(就寝時マウスピース)の作製
歯の負担を軽減し、根膜炎の改善に役立ちます。 - 噛み合わせのチェック・調整
- TCH(上下歯列接触癖)の改善指導
日中の噛み締めを無くすトレーニングをします。 - 状態により → 歯の欠け・しみへの処置
◆ 3. 副鼻腔炎(蓄膿症)による歯の痛み
上の奥歯の痛みは、鼻の炎症が原因のことがあります。
● 痛みの特徴
- 上の奥歯が複数本まとめて痛む
- 噛むと響くような痛み
- 歯科検査で異常が見つからない
● 原因
- 副鼻腔(上顎洞)の炎症が歯根部に近いため
- 鼻づまり・頭痛を伴うことも多い
★ 歯科医院での対応
- レントゲン・CTで上顎洞の状態を確認
- 歯に問題がないと判断したら → 耳鼻科への紹介
(副鼻腔炎の治療で歯の痛みが改善) - 上顎洞炎が歯から起こっている場合は → 原因歯の治療(根管治療)
◆ 4. 歯周病(歯ぐきの炎症による痛み)
歯周病は進行しても痛みが少ない病気ですが、炎症が強い場合は痛みが生じます。
● 痛みの特徴
- 歯ぐきが腫れて押すと痛い
- 噛むと強く響く
- 出血や膿を伴うことも
● 原因
- プラーク(細菌の塊)の増加
- 歯石の付着
- 免疫力低下
★ 歯科医院での対応
- 歯周検査(歯周ポケット測定・動揺度)
- 歯石取り・歯周基本治療
- 炎症が強い場合 → 抗生剤の処方
- 深いポケットがある場合 → 歯周外科治療
- 噛み合わせのズレにより悪化している場合 → 噛み合わせ調整
◆ 5. 噛み合わせのトラブル
詰め物・被せ物の高さや噛み癖により、特定の歯だけに負担が集中することがあります。
● 痛みの特徴
- 噛んだ時に違和感・痛み
- 歯が浮いたように感じる
- 頭痛や顎の疲れが出ることも
● 原因
- 新しい詰め物や被せ物の高さ
- 歯の移動(加齢・歯周病)
- 片側ばかりで噛む癖
★ 歯科医院での対応
- 噛み合わせの調整(咬合調整)
- 詰め物の再調整・再製作
- 片側噛み癖改善のアドバイス
- 噛み合わせ検査(咬合紙・スキャンなど)
◆ 6. 歯のヒビ(クラック)
小さなヒビでも痛みを引き起こします。
● 痛みの特徴
- 噛んだ瞬間だけ鋭く痛む
- 時々ズキッとする
- 温度変化で痛みが出ることも
● 原因
- 強い噛み締め
- 硬いものを噛んだ
- 過去の治療による歯の弱体化
★ 歯科医院での対応
- 歯のヒビの診査(咬合検査・染色など)
- 亀裂が浅い → レジン充填・被せ物で補強
- 亀裂が深い → 根管治療の上、被せ物で補強
- ヒビの場所によっては抜歯
早期発見が非常に重要です。
◆ 7. 根尖性歯周炎
歯の根の先に膿だまりができると、その部分が炎症することがあります。
● 痛みの特徴
- 噛むと痛い(咬合痛)
- 歯ぐきが腫れる
- 浮いた感じがする
● 原因
- 歯周ポケットから菌が入り感染
- 過去の根管治療によるもの
- 過去の外傷によるもの
★ 歯科医院での対応
- レントゲン・CTで膿だまりの有無を確認
- 神経の反応検査(神経が生きているかを確認)
- 再根管治療処置(罩)
- 症状が進んでいる場合は抜歯も視野に
早期治療で神経を残せる可能性が上がります。
◆ 8. 非歯原性疼痛(心因性・神経性)
歯そのものに問題がなく、神経系・筋肉・ストレスが痛みを引き起こすケースです。
● 症状の特徴
- 痛みが長く続く
- 歯科治療では改善しない
- 検査しても異常なし
● 代表的なもの
- 神経障害性疼痛
- 心因性疼痛
- 筋肉痛(筋・筋膜性疼痛)
★ 歯科医院での対応
- 原因精査(歯科・顎関節・筋肉の検査)
- 不要な治療を避けるための診断
- 必要に応じて → ペインクリニック・口腔外科への紹介
- 筋肉が原因の場合 → 顎のリハビリ・マッサージ指導
歯が痛いとき「すぐ歯科医院に相談すべき」理由
歯が痛む原因は複雑で、見た目で判断できないことが多く、虫歯がないから大丈夫”とは限りません。
- 早期であれば軽い処置で済む
- 神経を残せる可能性が高い
- 不要な治療を避けられる
- 痛みの原因の早期発見につながる
違和感程度でも受診することをおすすめします。
まとめ
虫歯がないのに歯が痛くなる原因は多岐にわたり、
その多くは 早めの対処で改善できるもの です。
知覚過敏/歯ぎしり/噛み合わせ/歯周病/歯のヒビ/副鼻腔炎/根尖性歯周炎/非歯原性疼痛
これらが単独または複合して痛みを引き起こします。
痛みの原因を正確に診断するためにも、気になる症状がある方は早めにご相談ください。
医療法人社団天白会有明ガーデン歯科クリニックは、
お口の中の些細なトラブルやお悩み事、検診など、お気軽にご相談できる歯科医院です。
どんなことでも、どうぞお気軽にご相談ください。
土日祝も20時まで診療しており、駐車場も完備しています。
あなたの歯の健康をサポートいたします!
このブログの監修者
医療法人社団天白会
有明ガーデン歯科クリニック
院長 歯学博士 石坂千春

理事長 歯学博士 山田健太郎 日本口腔インプラント学会 専門医































