顎関節症の原因とは

「顎が痛い」「口が開かない」「顎がなる」などの症状がある方は、顎関節症の可能性があります。顎関節症は肩こりや頭痛などの原因にもなり、重症になると口が開かなくなることもあります。

顎関節症の原因はさまざまです。決して顎のどこかに不具合があって、発症するのだとは限りません。噛み合わせや歯並びなど歯の不具合から、姿勢の悪さ、首や膝の不具合などさまざまな要因が関連して、顎関節症になるのです。

このため、顎関節に悪影響を与える要因を改善することが、この症状の根本的な解決策になります。
通常、顎関節治療は2つのステージで進められます。

まず1つ目のステージとして、当面の顎関節の不調を緩和するために対処療法を行います。顎関節に対する直接的な治療で、短期的な治療です。

そして、症状が緩和されたら2つ目のステージとして、顎関節の不調の原因となっている原因を身体中から突き止め、根本的な治療を行います。こちらは長期的な治療になります。

顎関節症の主な治療法

対処療法

薬物療法 関節腔内注射 スプリント療法
マイオモニター 関節円板整復 頸椎矯正
超短波温熱療法 顎関節ストレッチ指導 TCH(くいしばり)改善指導

根本治療

姿勢矯正 マイオバイト 筋電図
マイオモニター メタルアンレー 入れ歯・ブリッジ
インプラント 矯正治療

顎関節症の治療費

対処療法の中で薬物療法や関節口腔内注射は健康保険が適応されます。スプリント療法と.マイオモニターに関しては簡易な方法のみ健康保険が適応で、本格的なものは自費診療になります。その他の治療は全て自費診療になります。

一方、 根本治療については全て自費診療になります
保険診療を受けられる場合、保険適用の診療と自費診療の療法の療法を受けることができないルールになっていますので、その後の治療法が制限されることがあります。

また、当院でストレッチプロをご購入の方はその代金の中に姿勢矯正の費用が含まれます。

根本治療には特殊な機器や高度な技術が必要となるため、その分治療費が高額になってしまいます。

一般的な治療の流れ

  • 自費診療の対処療法

    1. 検査や診察などで顎関節や筋肉などについて詳細に調べ、日常習慣や姿勢をチェックします
    2. 頸椎の矯正を行います
    3. ずれた顎関節や関節円板の治します
    4. 顎関節に関わる筋肉に強く症状が出ている場合、超短波温熱療法を行います
    5. 自宅で行う顎関節ストレッチの指導を行います
    6. TCH(くいしばり)の癖がある方に改善に向けた指導を行います
    7. 必要に応じ簡易なマウスピースを作成します
    8. 調整を行いながら経過を観察し、改善が認められない場合、根本治療に移ります

  • 保険診療の対処療法

    1. レントゲンで顎の骨の状態を確認します
    2. 筋肉や関節の炎症を取る薬を処方します
    3. 関節のロックが取れない場合、関節内注射を行います
    4. 関節内注射は非常に強い痛みがあり、顎関節内の感染症を引き起こす可能性がありますので、慎重に経過を見ます
    5. マウスピースを製作します。強制的に下顎を治療ポジションに誘導するもので、着け心地は良くありません
    6. マウスピースの調整を行い経過を観察します。保険診療でできる治療はここまでです

  • 根本治療

    1. 筋電計やマイオモニターを用いて、最も筋肉のバランスが取れた下顎の位置での噛み合わせ、マイオバイトを記録します
    2. 歯型を採取し、フェイスボーと呼ばれる器具で歯列の状態を特殊な咬合器に取ります。この咬合器は顎の運動が再現できます
    3. 顎の運動が再現された咬合器を使い、顎を適切な位置に誘導するマウスピースを作ります
    4. このマウスピースは、咬合器などを使ってつくるので、健康保険の適用となるマウスピースとは全く違います
    5 . マウスピースを着用してもあまり効果がない場合、矯正治療や、歯全体の被せ物・詰め物の治療を行います

治療の際の注意点

顎関節症の根本的な原因は、多くの場合、噛み合わせの不良です。対処療法のみでは根本的な治療にならず、たいていのケースで再発を繰り返します。このため、一時的に症状が改善しても、歯科医師による定期的な経過観察が必要です。

また根本的な原因療法を希望される場合、多くは咬合の再構築や矯正治療などが必要となります。
保険診療だけでは、なかなか根本的な治療が難しいのが実情です。さらに、保険診療と自費診療の併用は「混合診療」としてが禁じられているため、十分な治療ができないことがあります。

顎関節症の治療を途中でやめてしまう患者様もいらっしゃいますが、調整を怠ったままスプリントなどの器具を長期間使用していると、歯並びや噛み合わせ、顎関節に悪影響を及ぼします。取り返しのつかない状態にまで悪化することがありますので、必ず調整器具は歯科医師の管理・指導を受けながら使用してください。

当院の指示に従わないまま長期間、自己判断でスプリントを使用したり不適切な顎運動体操などを続けられたりした結果、歯列不正などの障害が生じても、当院は一切責任を負いません。

顎関節症は噛み合わせや歯並びなど口腔全体の治療が必要です。当院では顎関節症だけの治療は行っておりません。、あた、妊娠中の方はレントゲン撮影や投薬などに制限があるため、保険診療での診療はできません。

当院での顎関節症の治療をご希望の患者様は、以上の点をご了解の上、ご来院ください。