「根の治療」とは
虫歯が痛み、歯科クリニックで診察を受けたところ、「神経の治療が必要です」と言われたことのある方もいるでしょう。歯の根の治療は、結構、通院回数が多いので、「いつまで続くのだろう」と不安に思う方もいらっしゃいます。中には、忙しくなって、中断してしまったという方もいるのではないでしょうか。
また、「歯を抜かなければならない」と言われたものの、なんとか「根の治療」で救うことができないかと考えていらっしゃくる方もいるでしょう。
当院は専門的な知識と技術を兼ね備えた歯科医師が診療にあたっています。「根の治療」や「歯の神経の治療」について疑問や不安のある方、詳しく説明を聞きたいという方は、当院にお気軽にご来院ください。歯や口の中のことであれば、なんでもご相談にのります。
どのような治療?
「根の治療」「歯の神経の治療」は、専門的な用語を使うと「根管治療」「歯内療法」といいます。
虫歯が深く進行して虫歯菌が歯の神経(「歯髄」といいます)にまで達すると、「歯がひどくしみる」「何もしていないのに歯が痛い」「根の先が腫れる」といった症状が現れます。
虫歯はそのまま放置しても、決して自然に治ることはありません。進行した虫歯には「根の治療」を行います。根の治療では、当面の悩みである痛みをとると同時に、長期にきちんと噛めるように処置を行います。
一般的な治療の進め方
- レントゲンや視診で、虫歯になっている歯や進行具合などを確認する
- 古い詰め物や被せ物、虫歯の個所を除去する
- 歯の神経の入り口を見つけ、入り口の形を整える
- 歯の神経の通り道を専用の器具で清掃する
- 清掃が終わると、根の中をゴム系素材で封鎖する
- 虫歯で無くなった部分の土台を補修・補強し、被せ物をする
通院回数は?
根の治療は結構期間がかかります。平均で3〜4回通院しなければなりません。痛みが長引いている場合はもっと回数がかかります。
さらに根管治療をした歯は、歯が欠けないように被せものをする必要があります。この回数が平均で3回程度。
予約間隔は、一般的に1週間に1回程度ですから、2カ月近くかかります。治療する歯が複数本あれば、まとめて治療することはできないので、本数分の回数がかかります。歯科の治療が長くなるのは、根の治療も一因です。
歯科医の腕が問われる
根の治療では、歯の奥にある神経の通り筋を探し出し、そこをきれいに清掃します。清掃作業では数分の1ミリ単位の精度が求められます。
また、根の治療中に唾液や細菌が入り込まないよう注意しなければなりません。治療に必要な時間は大臼歯で延べ2時間ほどになることもあります。歯科医の腕が問われる治療です。
ただ、残念ながら日本の健康保険制度では、治療費が諸外国の5分の1程度と非常に安く設定されています。
精密な作業が求められる難しい治療なのに、認められる治療費はあまりに安い。このため、きちんとした根管治療があまり行われていないというのが実情です。
「どんな歯でも残す」は誤った考え方
「どんな歯でも残す努力をするのがいい歯科医」と言われることがありますが、これは明らかな誤りです。
手術しなければいけない盲腸炎の患者を前にして、「様子を見ましょう」と言う医者がいたら、それは明らかな誤診です。
歯も同じことです。どうしても残せない歯もあります。良い歯科医はそのとき、きちんと理由を説明し、抜歯を勧めます。
根の治療の専門医も万能ではありません。どう頑張っても残すことができない場合は、正直に状況を説明し、他の手段を選んでいただくことになりうます。
特に次のような場合は、治療しても根治する可能性は低くなります。そのときは、最終的に抜歯しなければならないこともあると了解していただいたうえで、治療を開始いたします。
- 何回も根の治療を繰り返している
- 段差や目詰まりなどがあり、根の先まで清掃できない
- 虫歯が深くて歯茎の下にまで及んでいる
- 唾液が入り込んでしまう奥歯
- 残っている根の厚みが虫歯で薄くなってしまっている
- 何度も腫れや痛みが続いた歯
- 根にヒビ(クラック)が入っている
- 歯周病が進んでいる
治療や保存が可能か、成功率はどの程度かは、詳しい検査医や診察をした上でのご相談となります
外科処置で歯を救うことも
通常の方法では歯の根の治療が難しいケースでも、条件が整えば外科的な処置で、処置できることがあります。
根の先のことを「根尖(こんせん)」と言いますが、清掃が難しいケースで根が割れる心配がないときは、次の2つの方法のいずれかを使えば、歯を抜かずにすみます。
歯根端切除
歯の根の外側の歯茎を切開し、炎症を起こしている根尖の一部を切除する処置です。切開した部分は縫い合わせればふさがります。
この方法を歯根端切除(しこんたんせつじょ)といいます。