幼い頃から、歯のケアの方法を身につけ、しっかり実行していくことは、お子様の将来にとっても大切なことで、
お子様の自己成長にもつながります。
私たちは保護者の方と一緒に「自分で歯と口の健康を守れる子」を育てていきます。

自分で口の健康を守る子を育てる

自分の健康を守るケアのやり方を身に付ける

歯のケアの方法は、幼い頃に身につけることが大切です。

「乳歯が虫歯になっても、生え替わるから大丈夫」と考える方は少なくありませんが、これは誤った考えです。日本小児歯科学会の多くの研究論文が「3歳までに虫歯ができると、永久歯に生え替わった後も虫歯になる確率が高い」と報告しています。

別に、乳歯の虫歯菌が永久歯にも伝染するわけではありません。虫歯になってしまうような生活習慣や食習慣は、大人になっても変わらず、結局、虫歯になってしまうからです。

一生、虫歯にならない生活を送るためには、子どもの頃から歯磨きなど虫歯の予防をしっかり行い、自分の歯の健康に関心を持つことが大切です。当院の小児歯科では、お子様が自分で自分のロや歯の健康を管理できるようになることを目標にしています。

そのために、お子様や保護者のみなさまとしっかり向き合い、生活習慣や食習慣を改善するためのアドバイスなどを行っています。

成長段階に合わせた予防と治療

歯の健康を保つことは、体の健康にもつながります。お子様の将来のため、身体のトラブルや歯並びのコンプレックスに発展しないよう、早めに歯のトラブルに対応することが大切です。

お子様が恐怖心を抱かずに診察を受けるには、まず、親しみのある環境づくりが大切だと私たちは考えました。

スタッフはお客さまに明るく接し、華やかなイメージの受付やお子様が楽しみながら待ち時間を過ごせるキッズスペースなどで緊張感を和らげていただきます。
お子様にとって「また行きたくなる歯医者さん」が、私たちの目標です。

お子様が歯医者に行かなければならない理由とはなんでしょうか。第一に虫歯を予防・治療し、歯並びや噛み合わせを正しく整えるためですが、ひいてはそれが、お子様の自己成長につながります。

多くのお子様にとって歯医者は怖い場所に違いありません。どの子もみんな、最初はお父さんやお母さんら家族に助けを求めて甘えたり、泣き叫んだりします。それでも、ご家族も励ましや見守りを受けて、怖い治療を克服することで、子どもたちは精神的に強くなり、自立していきます。

私たちは、「歯科クリニックは子どもの成長の場である」と考えています。子どもたちは歯科クリニックで「つらさを我慢すること」や「人を信頼すること」を覚え、「健康の大切さ」を知り、「自分の体をケアする方法」を学ぶのです。

こうした考え方はアメリカなど欧米の歯科先進国では当たり前のことで、小児歯科の専門医は子どもたちの人格形成や成長を促す役割を担っています。

小児歯科とは

小児歯科は、お子様の歯の機能を守り、健やかな成長を促すのが役割です。歯の機能には「食べる」「飲み込む」「言葉を発する」「呼吸する」「顔の表情を豊かにする」「コミュニケーションをとる」などがあります。

こうした役割を果たすため、お子様の虫歯の治療や予防のほか、お子様の顎や舌、歯並びや噛み合わせなどを細かくチェックして、異常があれば原因を取り除いていきます。

保護者のみなさまへ

もし保護者のみなさまが「乳歯が多少虫歯になっても、永久歯に生え替わるから問題はない」と考えていたら、すぐに考えを改めましょう。乳歯の多くが虫歯になった子は、大人になってからも虫歯になりやすいことが、さまざまな研究で分かっています。なぜなら、虫歯の原因は不十分な歯のケアや、不適切な生活習慣、食生活だからです。

正しい歯のケアや生活習慣、食習慣を身に付けなければ、永久歯に生え替わっても、すぐに虫歯になってしまいます。しかも、虫歯になると「歯の質や形が悪くなり、歯並びが乱れる」「発音や滑舌が悪くなる」「体全体や顎の発育を妨げる」といった悪影響が生じます。子どもの健全な発育に、歯の健康は欠かせません。

子どもたちにとって、歯科クリニックは怖い場所の一つでしょう。泣いて嫌がるかもしれません。保護者のみなさまも、できることなら子どもの嫌がる姿は見たくないと思われることでしょう。しかし、歯の健康を保つには、幼い頃から歯科クリニックや歯科医に慣れることも大切です。

子どもたちに正しい歯のケアの方法を身につけさせ、健康へと導くのは大人たちの務めです。

小児歯科での虫歯予防

糖分の摂取を控える

虫歯の原因となる細菌は糖が大好物です。細菌は糖を摂取して酸を排出し、その酸が歯を溶かします。ですから、虫歯予防の第一歩は、糖分の摂取回数を減らすことから始まります。

さらに、ものを食べたり飲んだりすると、口の中が酸性になり、酸性の環境を好む虫歯菌はやはり活動を活性化させます。

その酸性となった口の中の環境を中和するのが、だ液なのですが、飲食の回数が増えると、唾液の働きが追いつきません。そのため、口の中が酸性になる時間が長くなり、虫歯菌が増えてしまうのです。

このため、虫歯を予防するためには、甘い食べ物や飲み物をできるだけらすことと間食を減らすことが大切です。


プラークコントロールで虫歯菌を減らす

食事に気をつけるだけでは、虫歯菌を減らせませんから、やはり毎日の歯磨きによるプラークコントロールは欠かせません。
正しく歯を磨き、虫歯の原因菌が潜んでいるプラーク(歯垢)をしっかり落としましょう。

歯磨きの習慣化、特に「寝る前は必ず」「食後はできるだけ」の2つは守りましょう。


フッ素塗布で丈夫な歯に

歯科クリニックで歯にフッ素を塗ってもらった経験のある方も多いでしょう。
フッ素には虫歯を予防する効果があることから、世界各国で活用されています。

フッ素は、虫歯菌によって溶かされた歯の表面(エナメル質)の修復(再石灰化)を促すほか、虫歯菌に対する抵抗力があります。ですから、定期的にフッ素を歯に塗っておけば、虫歯菌の活動を抑え、少しくらい虫歯菌の酸に歯が溶かされても、すぐに修復の手助けをしてくれるのです。


予防効果の高いシーラント

シーラントは、虫歯予防の処置の一つで、歯ブラシが届きにくい奥歯の溝にプラスチックを流し込んで、食べ物かすなどの汚れを落としやすくします。
虫歯菌が潜む歯垢が溜まりにくくなるため、高い効果が期待できます。


虫歯治療

子どもの虫歯治療は、大人の虫歯と同じように虫歯を削ったあとCRを埋めたり詰め物をしるたりするのが基本です。そして、治療よりも虫歯になる前に予防することが重要なのも同じです。

予防処置として行われるのは、歯科医師による歯のクリーニング(PTMC)や歯磨き指導です。

誰の口の中にも細菌層がありますが、子どもの頃から歯磨きを習慣づけ、定期的にPMTCを受けることで、細菌層を少なくしておくことが虫歯の予防には大切です。そうすることで、口の中の細菌が増えにくくなり、将来の虫歯や歯周病になるリスクを抑えることができます。

小児矯正

乳歯の歯並びを気にされる保護者もいらっしゃいますが、多くの場合、6歳までは放置していても問題は生じません。ただ、顎の骨の異常などで上顎か下顎のどちらかが突き出ているような場合は、顎の骨の成長をコントロールする必要があります。その場合は、歯科クリニックに早めにご相談ください。

顎の骨に問題がないのに、歯並びや噛み合わせが乱れている場合は、6歳臼歯が生えてきたタイミングで矯正治療を受けるか検討すればいいでしょう。

一般的には、6~9歳の間で良い時期を選んで矯正を始め、12~14歳くらいまで行います。これによって、歯並びや噛み合わせをきれいに整えることができ、将来、永久歯の矯正が必要になったときも、抜歯をせずにすむなど負担を軽くできる可能性が高まります。

ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、歯並びや噛み合わせが良い子どもは、集中力や記憶力も優れているとの報告が数多くあるます。また、平衡感覚やバランス感覚にも優れているといわれます。

噛み合わせが悪い子が目を閉じて歩いたり泳いだりするといつの間に方向が変わってしまいますが、噛み合わせが良い子は目を閉じていても真っ直ぐ歩いたり泳いだりできます。保護者のみなさまには、お子様の歯並びや噛み合わせの大切さをしっかり認識していただきたいと思います。