口ゴボって?その原因と治療の選択肢について 

こんにちは。 
最近、「口ゴボが気になります」「横顔がもっこりしていてマスクを外すのが恥ずかしい」
といった、ご相談を受けることが増えました。 

“口ゴボ”という言葉は、SNSなどでも広く使われるようになり、
美容的なお悩みのひとつとして注目されていますが、
実は見た目だけでなく、かみ合わせや呼吸、発音といった機能面にも関係することがあります。 

今回は、「口ゴボとは何か」「どうして起こるのか」「どのような治療方法があるのか」など、
歯科医師の立場からわかりやすくお伝えしたいと思います。 

最後まで読んでいただければ幸いです。 

口ゴボとは?

口ゴボとは、口元が前に出ているように見える状態のことを言います。 
特に横顔を見たとき、鼻と顎を結ぶ「Eライン」よりも上唇・下唇が大きく前に出ている場合、
「口ゴボ」と呼ばれることが多いです。 

見た目の特徴としては: 

・口元が“もっこり”として見える 

・口を閉じると顎に梅干し状のシワができる 

・唇が厚く見える 

・鼻が低く見える(相対的に) 

・無意識に口呼吸をしている 

といった症状が見られます。 

 

どうして口ゴボになるの? 

口ゴボの原因には、骨格・歯並び・生活習慣の3つが関係していることが多いです。 

① 骨格の影響(骨格性上顎前突・下顎劣成長) 

上あごや下あごの骨の成長バランスによって、口元が突出して見える場合があります。 
たとえば、上あごが前に出ている、または下あごが小さく後ろに下がっていることで、相対的に口元が目立ちやすくなります。 
このタイプは遺伝的な要因が大きく、見た目だけでなくかみ合わせや発音、顎の運動にも影響することがあります。 

② 歯並びの問題(歯性上顎前突) 

前歯が前に傾いていたり、歯列が狭いために前方へ押し出されたりしている場合にも、
口元が出て見えることがあります。 
このようなケースは、歯の位置や傾きを矯正することで改善が期待できます。 

③ 習慣や筋肉の問題 

小さいころの指しゃぶり、舌で前歯を押す癖(舌癖)、口呼吸などの生活習慣や舌・唇の筋肉の使い方も、口ゴボを引き起こす要因になります。 
これらの癖は無意識に行われることが多く、長期的に続くことで歯並びや骨格の成長に影響を与えてしまうのです。 

 

見た目だけの問題じゃない?口ゴボによる機能的な影響

「見た目が気になる」ことはもちろんですが、口ゴボは口腔機能にも影響を与えることがあります。 

・かみ合わせの不具合 
食べ物がうまく噛めなかったり、奥歯に過度な負担がかかったりします。 

・口呼吸による口腔環境の悪化 
唾液が蒸発しやすくなり、むし歯や歯周病、口臭のリスクが高まります。 

・発音のしにくさ 
特に「さ行」「た行」など、前歯の隙間を使う音が不明瞭になることもあります。 

・口唇閉鎖不全 
力を入れないと口を閉じられないため、顔の筋肉に余計な緊張がかかり、慢性的な疲労や見た目の印象にも影響します。

 

口ゴボは治療できる? 

口ゴボは、原因と状態に応じた適切な治療によって改善が可能です。 
治療法は大きく分けて以下のような選択肢があります: 

◎ 歯列矯正による改善 
歯の傾きや位置が原因の場合、矯正治療によって前歯を後退させ、
口元をスッキリと整えることができます。 
ワイヤー矯正やマウスピース型矯正など、
ライフスタイルや症状に合わせた方法をおすすめします 

◎ 外科矯正(手術を併用する場合)
骨格性の要因が強い場合には、矯正治療だけでは対応が難しいことがあります。 
その場合には、顎の骨を移動させる手術と矯正治療を組み合わせる方法が選択されることがあります。 
こうした外科矯正は、見た目の改善だけでなく、機能面(かみ合わせ・呼吸・発音)も大きく向上することが多いです。
しかしながら、大掛かりな治療のため、大学病院を受診していただくことをおすすめします。 

◎ 筋機能療法(MFT) 
口ゴボの根本的な原因が、舌の癖や口輪筋の弱さにある場合は、
筋機能訓練を取り入れることもあります。 
口を正しく閉じる力や、舌の正しい位置を覚えることで、後戻り防止や軽度の改善に効果があります。 

 

まとめ

「口ゴボ」は、見た目の印象に大きく関わるだけでなく、
健康なかみ合わせや呼吸、発音といったお口の「本来の機能」とも深くつながっています。 
見た目の悩みだからと放置せず、専門的な診断と治療を受けることで、
将来的なトラブルの予防にもつながります。 

もしあなたが口元のことで悩んでいるなら、まずは歯科医院にご相談されるとよいでしょう。 

 

医療法人社団天白会有明ガーデン歯科クリニックは、
お口の中の些細なトラブルやお悩み事、検診など、お気軽にご相談できる歯科医院です。
患者さま一人ひとりの価値観やライフスタイルに合わせたご提案を行っています。
どんなことでも、どうぞお気軽にご相談ください。 

土日祝も20時まで診療しており、駐車場も完備しています。お気軽にご相談ください。 

あなたの歯の健康をサポートいたします! 

このブログの監修者

医療法人社団天白会 

有明ガーデン歯科クリニック 

院長 歯学博士 石坂千春 

理事長 歯学博士 山田健太郎 日本口腔インプラント学会 専門医 

 

保険治療と自費治療の違い

こんにちは

今回のブログは、保険治療と自費治療の違いについてお話したいと思います。

~大切なのは「治す」だけでなく「どう治すか」~

歯科治療には、大きく分けて「保険治療」と「自費治療」の2つの選択肢があります。どちらも大切な役割を果たしますが、治療の質・見た目・耐久性にこだわりたい方には、自費治療がより満足度の高い選択となることが多いです。

では、2つの治療方法について述べていきます。

■ 保険治療 ― 必要最低限の「機能回復」

保険治療は、健康保険を使うことができる診療のことです。
治療の際に患者さんが負担するのは原則3割と決まっており、保険治療の費用は全国で一律なので全国どこの歯医者で治療を受けたとしても、費用はどこも一緒になります。
仮に治療費が10,000円かかっていたとしても、3割負担であれば3,000円で済むということです。
ただし、治療の内容は決められていて、その内容が必ずしも患者さんにとって満足のいく治療ばかりではありません。現在、国の財政の足を引っ張っているのがこの健康保険の医療費とも言われています。残念ながら、これ以上財政を圧迫する高度なコストのかかる新しい治療は取り入れられることもないでしょう。現在の保険治療は20年いや30年前とほとんど変わっていないのが実情なのです。

・国が定めた範囲内の治療・材料のみ使用可能
・費用は抑えられるが、使用できる素材や技術に限りあり
・銀歯やプラスチックの詰め物など、審美性は限定的
・主に「噛めること」「最低限の見た目」がゴール

※保険治療は「応急処置」や「最低限の回復」には適していますが、
自然な見た目や快適性、長期的な耐久性を求める方には物足りない面もあります。

■ 自費治療 ― 健康と美しさを両立する選択肢

自費治療は、健康保険が使えない診療のことです。
そのため、どうしても治療費は保険治療に比べると高額になりがちです。
しかしながら、健康保険には取り入れられていない、より高度で満足度の高い治療を受けることができます。
そのため、審美性が高い、また長期予後の良い治療は自費治療になることが多いです。

・高品質な材料(セラミック・ジルコニア・金属床など)が使用可能
・技術や工程に制限がなく、一人ひとりに合わせたオーダーメイド治療
・見た目が自然で、他人から治療したかどうか気づかれにくい
・精密な型取り・咬み合わせ調整により快適さと長期安定性が向上

※自身の歯と見分けがつかないほど美しいセラミックのかぶせ物、まったく同じ機能を持ったインプラント、違和感が少なく発音しやすい精密な入れ歯など、自費治療だからこそ可能な選択肢が多数あります。

■ こんな方は、自費治療が良いかもしれません

近年は、患者さんからの要望も多様化してきました。
下にあるような治療を希望される方は、自費治療にされたほうがよいと思います。ただし、ご自身のお口の状況によっては、治療費に見合わない結果を招くこともありますので、歯科医師としっかり話し合って決めることが重要です。

・銀歯ではなく、自然に見える白い歯で審美性を求めたい
・虫歯が再発しにくい被せ物にしたい
・長期予後を第一に考えた治療をお願いしたい

■まとめ

日常的な機能回復だけが目的なら保険治療でも十分なケースが多いと思います。しかしながら、見た目や快適性を重視する場合や、より長期的な予後を求める場合は自費治療が適しています。患者さんは、その説明を受けたうえでご自身の希望や予算に応じて選択することが最も大切です。

どの歯科医院でも患者さんに沿った保険治療と自費治療のそれぞれのメリットデメリットを説明しています。逆に説明のないような歯科医院は間違っていると思っています。治療の選択権は、常に患者にあるのですから。

医療法人社団天白会有明ガーデン歯科クリニックは、お口の中の些細なトラブルやお悩み事、検診など、お気軽にご相談できる歯科医院です。
患者さま一人ひとりの価値観やライフスタイルに合わせたご提案を行っています。どんなことでも、どうぞお気軽にご相談ください。

あなたの歯の健康をサポートいたします!

このブログの監修者

医療法人社団天白会

有明ガーデン歯科クリニック

院長 歯学博士 石坂千春

理事長 歯学博士 山田健太郎 日本口腔インプラント学会 専門医