妊娠中のレントゲンって撮影して大丈夫?

こんにちは

妊娠している方や、あるいは妊娠しているかもしれない方の中には、レントゲン撮っても影響ないのかしら?と、心配される方もいらっしゃると思います。今回は、そんな方に読んでいただきたい内容です。

結論からお伝えしますと、妊娠していても歯医者で撮るレントゲンは心配無用です! では、その理由についてお話していきます。

放射線の単位

放射線のエネルギーが人体にどれくらい被曝したのかを表す単位はシーベルト(Sv)で表されます。
放射線と聞くと、原爆や原発事故、最近では東日本大震災などを思い出してしまう方も多いと思いますが、私たちが普通に生活していても、空気中や大地など自然放射線を体に浴びています。また、遮蔽はされていますが、テレビや電子レンジといった家電製品からも出ていますし、食品からも低線量の被爆を常に受けているのです。

※ちなみに、日本で暮らしていると、年間に平均1.5ミリシーベルト(宇宙から0.4ミリシーベルト、大地から0.5ミリシーベルト、空気中から1.2ミリシーベルト、食品から0.3ミリシーベルト)の放射線量を浴びています。

有明 歯医者 放射線の単位

では、お母さんの下腹部に居る胎児にどのくらいの放射線が浴びせられると影響があるのかが問題になります。
妊娠の時期にもよりますが、一度に胎児に直接50~100ミリシーベルトを 浴びさせてしまうと、流産や小頭症など母子の危険が有ると言われています。

レントゲン撮影の放射線量は?

では、この胎児に直接、50~100ミリシーベルトを浴びるとはどれくらいなのでしょうか。
歯医者でレントゲン撮影をした場合、一般的に、歯科パノラマ撮影(お口の中全体を撮影)で0.03ミリシーベルト、歯科口内法(デンタル)撮影(部分的に撮影)で0.01ミリシーベルトです。この数値からでも、胎児に影響を及ぼす50~100ミリシーベルトに達するにはかなりの撮影が必要だとわかりますが、そこから胎児が浴びる放射線量はデンタル撮影で 0.0001~0.0008ミリシーベルトだそうです。つまり、62.500枚以上のレントゲンを撮影しない限り、影響はないということになります。また、多くの歯科医院に導入されているCT装置であっても0.1ミリシーベルトだそうです。

防護エプロン

レントゲンを撮影する際に、重いエプロンを羽織ったり着せられたご経験があるかと思います。上記のデータは鉛の入った防護エプロンをしていない場合の数値です。防護エプロンをしていた場合、胎児のいる下腹部への被爆は0だそうです。尚更に心配する必要は有りません。防護エプロンをしないでも殆ど問題はないですが、患者さんに安心してもらうために防護エプロンを着用しているのが実情なのです。

でもやはり不安が。

もちろん、そのように思われる方もいらっしゃいます。ただ、歯科医師の立場からの意見では、撮らないデメリット(治療ができない、盲目的な治療になる)のほうが高いと考えています。妊娠中はホルモンバランスや食生活の変化によって、妊婦さんのお口の中の環境も変わり、歯周病や虫歯のリスクが高まります。レントゲンを撮ることで、目視や触診ではわからない情報を得ることができ、早期発見、治療が可能となります。

妊娠中の歯周病と虫歯のリスク

最後に、歯周病と虫歯のリスクについて書きます。

歯周病にかかっている妊婦さんが早産する確率は5倍も高まると言われています。歯周病菌が歯ぐきの隙間から入り、歯を支えるあごの骨を溶かしていきます。すると、次第に血中濃度が高くなり、胎盤を刺激し、身体は出産の準備が整ったものだと勘違いしてしまい、陣痛や子宮収縮が起こさせ、早産してしまうこともあるようです。

ホルモンバランスも変化しやすく、歯周病菌が活発に活動しやすくなります。
妊娠初期はつわりが酷く、歯磨きどころじゃないという人もいるでしょう。
妊娠後期でも、おなかが張ることで、胃が圧迫され食事がとりにくくなります。自然と食事の時間が長くなり、口の中が酸性に傾いて虫歯になりやすくなります。
妊娠中でも歯科治療は可能ですが、体調が安定する妊娠4~7カ月目の安定期に治療されることをおすすめしています。
妊娠初期は治療による緊張が流産の危険性がないとは言えませんし、妊娠後期ですと、体力的に治療を受けにくいかもしれません。
お母さん本人の健康と生まれてくる赤ちゃんのためにも、妊娠中は歯を清潔に保つようにし、治療が必要ならば出産前に済ませることをお勧めします。

有明 歯医者 妊娠中の歯周病と虫歯のリスク

まとめ

今回の、妊婦さんとレントゲンについてのブログはいかがでしたでしょうか。我々歯科医師や歯科衛生士がしっかりケアをしながら受診していただくよう努めさせていただきます。
ご心配なことがあれば、どんなことでも構いませんのでお気軽にお声がけしていただければと思います。

生まれてくるお子さんのためにもお口の中のチェックも妊娠中にされることで、安心して出産できることを祈っております。

医療法人社団天白会有明ガーデン歯科クリニックでは、随時急患を受け入れております。
妊娠中のお口の中のトラブルやお悩み事や検診、お子様のお口の中のご相談などお気軽にご相談ください。
土日祝も20時まで診療しており、駐車場も完備しています。

あなたの歯の健康をサポートいたします!

このブログの監修者

医療法人社団天白会
有明ガーデン歯科クリニック
院長 歯学博士 石坂千春

有明ガーデン歯科クリニック 院長 歯学博士 石坂千春

理事長 歯学博士
山田健太郎
日本口腔インプラント学会 専門医

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