虫歯が悪化し歯の根にまで到達してしまったり、歯が割れてしまったりと、残念ながら歯を残せない場合があります。
そんなときに、親知らずや口の中で機能していない歯(埋伏歯)などを移植する治療を行うことがあります。
歯牙移植の当院の方針
移植した歯は、他の歯と同じように機能させることができます。歯のない個所にインプラントと埋め込み、人工的に新たな歯をつくる治療もありますが、噛んだときの感触や金属アレルギーの不安などを考えると、移植治療が可能なのであれば、当院では移植を第一選択に考えています。
メリット
天然の歯には歯根膜というクッションがあるので、インプラントよりも自然な感覚で食べ物などを噛むことができます。
条件によっては、保険が適用されます。

よくあるご質問Q&A
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どういう人が対象ですか?
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健康保険は使えますか?
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どの歯にも移植できるのですか?
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抜いた歯の頭はそのまま使えますか?
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移植した歯の寿命はどれくらいですか?
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インプラントとどちらがいいのですか?
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どこの歯科クリニックでも受けられますか?
歯科用CTを使い正確な診断
歯の移植治療では、歯の根の形や大きさを正確に確認することが大切です。そのため、当院では歯科用CTを導入しました。
インプラント治療のためにCTを導入する歯科クリニックは多いですが、当院は歯の移植治療を一番の目的にCTを導入しました。
CTによって、歯の根の形や大きさを3次元的に確認できるほか、歯の近くの神経や血管などの位置も確かめることができます、これによって、移植用の歯をより安全に抜歯し、安全で長持ちする歯の移植をより確実にできるようになりました。
当院のCTは性能がよく、鮮明な画像が得られます。

注意点
移植した後、歯は根の周囲にある歯根膜という組織の働きによって骨とくっつきますが、歯の中にある神経まではくっつきません。
死んでしまった神経をそのままにしていると、悪い物質が出てきて、移植の妨げとなります。そのため移植した後に、歯の神経の治療を行います。
歯の根は、将来的に吸収されることがあります。また、身体が移植した歯を異物と認識して移植した歯を排除しようとすることがあります。
歯の根は複雑な形をしていますので、決まった形のインプラントの手術より骨を削る量が増えます。このため、患部が腫れやすくなります。40歳以上の方は39才以下の方に比べて、成功率が下がります。また、次のような場合、移植治療が行えないことがあります。
- 移植先に対し、移植する歯が大きすぎる。または小さすぎる
- 移植先に、移植する歯を囲む骨がない
- 移植する歯の根の形が複雑すぎる
- 移植する歯が歯周病などによって歯根膜が損なわれている
- 血が止まりにくいなどの病気がある
また、アレルギー体質の方は、移植した歯がつかない場合があります。事前のCT検査の結果、移植治療に適応しないと判断される場合もあります。

治療方法・手順
- 移植した歯が定着しやすいよう、口の中を清掃する
- 歯を抜いて移植する(約1時間)
- 翌日、移植した部分の消毒(20分)
- 1週間後、抜歯(20分)
- 1週間後、歯の根の治療を開始(30分)
- 1カ月に1度、歯の根の薬を交換する(20分)
- 移植した日から2~6カ月後に歯の根に最終的な薬を入れる(30分)
- 歯に心棒を入れ、被せる歯をつくるための型をとる(45分)
- 歯を被せる(30分)
