当院では、口臭を改善するための治療も行っています。
口臭の原因は明確なケースが多く、ほとんどの方は改善が期待できます。なかなか人に相談できず悩んでいた方も、お気軽にご相談下さい。

口臭とは?

口臭とは「口腔を通して発せられる社会許容限度を超えた不快なにおい」のことです。
口臭の発生源は80% 以上が口の中だといわれています。

口臭の原因

口臭の原因はほとんどの場合、細菌が発生させる揮発性硫黄化合物です。その 60% が舌に付着している「舌苔(ぜったい)」で生産されています。舌苔が付着しているのは、主に舌の後方部です。

揮発性硫黄化合物には次のような種類があります。

硫化水素

口腔内に原因があるときに検出される


メチルメルカプタン

歯周病を原因とする口臭の場合に検出される


ジメチルサルファイド

歯周病がある場合に検出される


ですから、口臭を除去するには、舌を清掃して舌苔を除去するのが最も効果的です。また、揮発性硫黄化合物はアルカリ性の環境で発生し、酸性の環境では産生されません。

また、揮発性硫黄化合物は悪臭の原因となるだけでなく、強力な生体毒性があり、その毒性は青酸ガスより強力です。その毒性によって歯周組織が破壊され、コラーゲンなどの合成も阻害します。さらに、歯周病を悪化させる要因ともなります。

つまり、口臭を放置していると、歯の健康まで損ねる恐れがあります。口臭を抑えることは、歯や口の中の健康維持にもつながるのです。

生理的口臭と歯周病口臭

揮発性硫黄化合物のうち硫化水素は、口の中に疾患がなくても、起床直後にも検出されます。こうした口臭を生理的口臭と呼びます。
しかし、歯周病になると、揮発性硫黄化合物のうち、メチルメルカプタンが高濃度に検出されます。メチルメルカプタンは硫化水素に比べ、臭いが強い傾向があります。このため、歯周病患者は口臭がかなりきつくなります。


歯周病口臭

歯周病の原因となる細菌は、メチルメルカプタンという物質を大量に産出し、それが口臭の原因となります。
この物質は、歯周病ポケットからしみ出す液体の中で増えるため、歯周病が重症化するにつれて量も増えていきます。また、歯周病が進行すると、舌苔も増えていきます。つまり、歯周病が進行していくと、歯周ポケットと舌苔から産出される口臭の原因物質がどんどん増えていくことになります。


その他の口臭

歯周病など口の中以外の疾患でも、次のような疾患が口臭の原因となることがあります。

代謝性疾患:糖尿病(アセトン臭)、肝機能障害(アンモニア臭)、腎機能障害(魚の腐敗臭)

鼻咽喉疾患:副鼻腔炎・副鼻腔癌(タンパク質の壊疸臭)

呼吸器疾患:気管支拡張症・肺結核・肺癌

消化器疾患:食道憩室・食道ヘルニア


口臭治療の流れ

口臭の 原因の90% 以上は口の中の病気で、その多くが歯周病と舌苔です。ですから、歯周病の治療と舌苔に除去が口臭治療や予防の近道になります。

そのほか、起床時や空腹時、緊張時に起こる生理的口臭や、糖尿病など口の中以外の病気によるものがあります。まず、全身に口臭の原因となる病気がないかを確認したうえで、口の中の検査を受け、口臭の原因を特定していきましょう。

舌苔の除去

口の中で最も多くの揮発性硫黄化合物を産生するのは舌にできる舌苔です。舌苔は舌の後方部に蓄積します。診察では舌をガーゼでつかみ、前に引き出して調べます。舌苔の部分を水で湿らせたガーゼで拭うと、舌苔が取れ匂いが確認できます。

舌苔の除去

舌苔は除去するのに有効なのは、舌を清掃する専用の器具です。洗口剤や口臭予防剤もありますが、あくまでも補助的なものと考えてください。

舌清掃具

舌清掃用具としては、舌ベラや舌ブラシといった道具があります。舌ベラと舌ブラシでは、ヘラの方が大量の舌苔がかき出せるように見えますが、ブラシのほうが舌苔をよく落とし、口臭予防の効果もあります。

理由としてブラシのほうが舌の隙間、舌乳頭間にまで入って掃除ができるから、と考えられています。口臭予防には、まず舌ブラシによる清掃が一番だといえるでしょう。

舌清掃の仕方

舌苔が多いのは舌の後るのほうなので、前のほうはほとんど清掃する必要がありません。
舌ブラシを後方の溝にあて、必ず後ろから前へとかきだします。歯科クリニックでは、舌専用のエンジン用ブラシがありますので、効率的に舌苔を除去することができます。 舌ブラシで清掃する場合は、かき出す動作を 何回か繰り返しますが、1 回につき 20 回までにしてください。

口臭治療のための歯周病治療

歯周病の検査

歯周病が原因で起こる口臭は、主に歯周ポケットに存在する歯周病菌と、歯周ポケットからにじみ出す炎症性の液体が原因です。ですから、歯周病の治療を行えば、口臭も抑える
ことができます。

歯周病治療

プラークを取り除くなど歯周病の原因菌を取り除きます。
主に、プラークコントロール、スケーリング、ルートプレーニングといった方法で行います。

1. プラークコントロール (歯磨きを行う際のブラッシング法の指導)

2. スケーリング (歯石や歯垢の除去。歯の表面に付着したたばこのヤニや色素の除去)

3. エアフロー (より効果的な色素の除去)

4. ルートプレーニング (歯周ポケット内の歯石の除去や根面の研磨)

5. ポリッシング (再付着防止のための歯面の研磨)

6. 歯肉マッサージ (歯肉の活性化)

7. 舌清掃 (舌専用ブラシと口臭抑制剤を使った舌苔の除去)

8. フッ素塗布 (ナノハイドロキシアパタイトの塗布 歯質の強化)

9. 再評価(終了)

よくある質問

  • 口臭予防に有効な薬剤は?

    塩化亜鉛や、クロルヘキシジンなどの 有効成分が入っているものがよいでしょう。その多くは医薬品か医薬部外品です。ただし、薬品はあくまでも補助的に使ってください。きちんとしたブラッシングと、メンテナンスが口臭予防の近道です。

  • 食後の口臭はどうすれば防げるでしょうか?

    通常は食物の残りかすと、唾液の分泌量が減ることによって口臭が発生します。食物の残りかすはは、歯と歯の間のほか、舌の表面の粘膜に潜んでいます。ですから、舌ブラシで舌の汚れを取れば、口臭は減るはずです。舌ブラシが難しい方は、洗口剤を口に含み、舌を上あごにおしつけて、こすりつけるようにしてから、洗口液を吐き出してください。また、舌をよく動かすことで唾液の分泌量が増えます。この方法は唾液の量が少ない方に効果的です。

  • 口臭を自分で確かめる方法はありますか?

    自分の口臭を自分で確かめることは非常に難しいです。なぜなら、常に一定のレベルで存在する臭気に対し、臭覚は慣れて鈍感になるからです。コップに息をふきつけてかぐ、手でおおってかいでみる、といった方法で確認できるとも言われますが、実際の状態と完全に一致するわけではありません。信頼できる第三者に客観的に判断してもらうか、口臭が出る条件を満たしていないかどうかチェックする、という方法が現実的でしょう。